下記のような繰り返し作業や、定例化された作業にどのくらいの時間をかけていますか?
フォルダ・ファイル作業
- 決まった差出人から来るメールの添付ファイルを毎回フォルダに保存している
- 毎月月初に複数の今月用フォルダを作成している
- 特定のフォルダ内にあるword等の文書をPDFに変換している
Excel作業
- 1週間 or 1か月で行った作業内容をExcelに記載している
- 1日の勤務時間をExcelに入力している
- Excelの「期日」列でタスク期限が切れそうなものを確認し、担当者へ知らせている
メッセージ送信・リマインド作業
- メールメッセージ内の注文コードを取得してExcelに転記している
- 月末にTeamsのメンバーに提出物のリマインドを行っている
- Excelを参照し、請求書の送付先へメールを送信している
etc…
これらの作業は、「Power Automate」を利用すれば自動化でき、大幅に時間を節約できます。
Power Automateを活用することで、大きく2つのメリットがあります。
- 作業時間を時短できる
- ヒューマンエラーによるミスを削減できる
また、繰り返し作業を時短することにより、意思決定やアイデアが必要な作業等によりフォーカスを置くことができます。
Power Automateを使える環境で仕事をしているとしたら、使わない手はないと言えるくらい、
業務の効率化に欠かせないツールです。
Power Automate (クラウド版)とは?
Power Automateは、Microsoftが提供する業務の自動化ツールです。
クラウド版としているのは、デスクトップ版の「Power Automate Desktop」と言われる自動化ツールと区別するためです。
自動化する一連の流れを「フロー」と呼ぶのですが、フローが実行されるタイミングとしては以下3通りです。
- イベントで実行
例:Outlookメールを受信したら、添付ファイルを保存するフローを実行
- スケジュールで実行
例:月末25日になったら、Teamsメンバーにリマインドするフローを実行
- 「実行ボタン」を押して実行
例:実行ボタンを押したら、ファイルを他のフォルダに移動するフローを実行
オンライン上でフローが実行するので、実行中はPCで他の作業をしていてもOK。
「実行ボタン」を押す以外の方法では、PCの電源を切っていても自動実行されます。
Power Automateで自動化できるもの
クラウド版のPower Automateは、前述の通りWeb上でフローを実行します。
そのため、SharePoint、OneDrive、Teams、Outlook等、オンライン接続できるサービスが自動化の対象です。
Power Automateと上記のようなオンラインサービスを接続するツールを「コネクタ」と呼ぶのですが、
Power Automateには非常に多くのコネクタが用意されています。
ただ、無料の機能で利用できるコネクタには限りがあります。
無料のコネクタの一例に他社サービスのGmailやX(旧Twitter)、Slack等も数多くありますが、
一番よく活用しやすいのものが、やはりMicrosoftのサービスではないかな?と思います。
冒頭で紹介した繰り返し作業の一例はもちろん自動化できますが、他の具体的な事例も記載してみます。
例1 Outlookの自動化
メールを受信したタイミングでフローを実行する例としてはこんな形です。
- 「見積書」と件名に入ったメールが届いたら、添付ファイルをフォルダに保存する
- 「注文番号」と本文に入ったメールが届いたら、本文記載の注文番号をExcelに転記する
メールの送信を自動化するならこんな形です。
- 月末処理用のフォルダにファイルを追加したら、対象のファイルリンクをメールで送信する
- 特定の差出人から件名に「緊急」とあるメールを受信したら、特定のメンバーに転送する
例2 Teamsの自動化
Teamsでメッセージを送信する作業を自動化する例としてはこんな形です。
- Formsアンケートに回答が届いたら、チャネルメンバーに知らせる
- 時間外にチャネルに連絡が届いたら、「翌営業日に対応する」と自動応答する
- 「重要」と件名に記載したチャネルメッセージに対してリアクションが少なかったらリマインドを送る
例3 Excelの自動化
Excelの作業を自動化する例としてはこんな形です。
- 社員のモバイルデータ使用量一覧表を参照し、データ使用量が〇〇以上なら警告メールを送付する
- アンケート結果一覧表を参照し、満足度が低い人に対しフォローアップメッセージを送付する
Power Automateの利用条件
会社や学校でMicrosoft 365 もしくは Dynamics 365のライセンスを購入している場合、Power Automateは付帯で利用できます。
利用の可否は、Microsoft Edgeブラウザからでも今すぐ確認可能です。
↓Edgeブラウザ左上の「ワッフルアイコン」より「すべてのアプリ」をクリックします。
↓Power Automateが一覧にあれば、利用可能です。
M365付帯ライセンスでPower Automateを利用する場合の機能制限
Dynamics 365やPower AutomateのPremiumライセンス等で利用できる機能に比べ、
Microsoft 365のライセンスで利用できる機能には制限があります。
自分の環境での機能制限については、Power Automateにアクセスして確認することが可能です。
↓画面右上の設定⚙アイコンより、「自分のライセンスを表示」をクリックします
↓自分のライセンスで利用できる機能を確認可能です
ライセンスによる機能の詳細については、ライセンスガイドのP17をご覧ください。
本ブログでは、有料機能を利用しないフローを中心に紹介していきます。
プログラミングの知識がなくても大丈夫?
Power Automateの特徴は、「ローコード / ノーコード」と言って、開発の専門知識が不要なことです。
ただし、自動化する内容が複雑になるほど、「プログラミング脳」は必要だと考えています。
そして、複雑な内容ほど自動化できると助かるものは多いと思います。
下図に独断と偏見でレベル別にできることを記載してみました。
変数や関数などを使用する「中級」以上から、コードは書かずともプログラミング的なロジックが必要です。
変数や関数など、理解するまでは大変な所もありますが、覚えてしまえばいろんなタスクにおいて自動化の応用が利きます。
何より、日ごろ面倒くさいと疎んでいた作業がなくなると、とても快感です。
もし前述した繰り返し作業に思い当たる節がある方は、
Power Automateに少しずつ慣れていき、生産性を爆上げしていきましょう!
まとめ
クラウド版のPower Automateは、多くのWebサービス(特にM365製品)と連携し、あらゆる作業を自動化するツールです。
繰り返し作業・定例化された作業を自動化することにより、作業時間やヒューマンエラーを大幅に削減します。
業務の生産性を向上させることで、アイデアが必要な業務等、人間にしかできない業務に専念する時間を増やすことができます。
是非Power Automateを活用して、業務効率化の一歩を踏み出してみてください。
まずは#PA基礎より、初級レベルのフローを作成してみましょう!
次の記事では、「スケジュール済クラウドフロー」(設定した日時になると実行するフロー)で、Teamsチャネルに月末提出物のリマインドをするフローを作成していきます。
Power Automateの以下の機能についても学ぶことができます。
- フローの編集画面の利用方法
- フローの保存とテスト方法
- 「トリガー」と「アクション」とは
- 「コネクタ」とは